言葉の意味
記事に出てくるカメラの言葉を、できるだけやさしく言い換えました。「もう少し正確に言うと」を開くと、メーカーの公式の解説などをもとにした説明と出典が見られます。
露出(適正露出・標準露出)
写真を撮るときに、センサーにどれだけ光を入れるか、ということ。光の入る穴の大きさ(絞り)と、穴を開けておく時間(シャッタースピード)で調整する。
もう少し正確に言うと
露出とは、撮像素子(イメージセンサー)に光を当てること、またはその光の量を被写体の明るさに合わせて調整することを指す。撮像素子に届く光の量は、主に絞り(F値)とシャッタースピードの組み合わせで決まる。撮影者の意図に合った露出を「適正露出」と呼ぶ。
段(EV)
「1段明るく」は「光の量を2倍にする」という意味。
もう少し正確に言うと
露出の変化量を表す単位。1段変わると、撮像素子に届く光の量は2倍(または1/2)になる。シャッタースピードでは露光時間が2倍か1/2、F値では標準の数列(F1.4→F2→F2.8→F4→F5.6→F8→F11→F16…)を1つ動かすことが1段にあたる。ISO感度では数値が2倍か1/2になることが1段にあたる。
絞り(F値)
F値は光の通り道の広さを表す数字。数字が小さいほど穴が大きく、明るく写り、背景はぼけやすい。
もう少し正確に言うと
絞りはレンズの中で光の通る穴の大きさを変える仕組みで、F値(絞り値)はその明るさを表す数値。F値は「焦点距離÷有効口径」で求められる(Canon)。F値が小さいほど穴が大きく開き、多くの光が通る。F値が大きいほど穴が小さくなり、光は少なくなる。
シャッタースピード
センサーに光を当てている時間の長さ。短いと動きがピタッと止まり、長いと動いたものが流れて写る。
もう少し正確に言うと
シャッターが開いていて、光が撮像素子に届いている時間。1/250秒、1/60秒、1秒などと表す(カメラ画面では1秒以上を 1" 2" のように表示する機種が多い)。速いほど動きが止まって写り、遅いほど動きがブレて写る。
ISO感度
センサーが受け取った光の信号をどれだけ大きくするかの目盛り。上げると暗い場所でも明るく撮れるが、写真がざらつきやすくなる。
もう少し正確に言うと
デジタルカメラが光をとらえる能力を表す値。撮像素子が受けた光を電気信号に変えた後、その信号を増幅する度合いを変えることで調整する(Nikonの説明では、ISO感度を2倍にすると電気信号も2倍)。上げると、同じ絞りでより速いシャッタースピードが使えるが、信号と一緒にノイズも増幅される。CIPA(カメラ映像機器工業会)は、メーカーごとに感度の表記がばらつかないよう、デジタルカメラの感度の表記方法を規格(CIPA DC-004)で定めている。
露出補正
カメラ任せの明るさに「もうちょっと明るく/暗く」と注文をつける機能。
もう少し正確に言うと
カメラが自動で決めた露出を基準にして、写真を意図的に明るく(+側)または暗く(−側)する機能。多くの場合、1/3段刻みで設定する(例: −1.0、−0.7、−0.3、0、+0.3、+0.7、+1.0)。主にP・A(Av)・S(Tv)などの自動露出モードで使う。
被写界深度
ピントが合って見える奥行きの幅。「深い」は手前から奥までくっきり、「浅い」はピントが合ったところ以外がすぐにぼける状態。
もう少し正確に言うと
ピントを合わせた位置の前後で、ピントが合っているように見える範囲。絞り値・焦点距離・撮影距離の3つで決まる。F値が大きいほど、焦点距離が短い(広角)ほど、撮影距離が長いほど深く(広く)なる。逆にすると浅くなる。厳密にはピントが合うのは1つの面だけで、「合っているように見える」範囲は、どの程度のボケまでを許すか(許容錯乱円)という基準で変わる。
ボケ
ピントが合っていないところがふんわりにじむこと。F値を小さくする、望遠にする、被写体に近づく、背景を遠くする、の4つで大きくなる。
もう少し正確に言うと
ピントが合った位置から外れた部分が、にじんだように写る状態。ボケの大きさは主に4つで決まる: ①絞り(F値が小さいほど大きい)、②焦点距離(長いほど大きい)、③カメラと被写体の距離(近いほど大きい)、④被写体と背景の距離(遠いほど大きい)。ピントの手前にできるボケを「前ボケ」、奥にできるボケを「後ボケ」と呼ぶ。「ボケ味」はボケの量ではなく、ボケの質(にじみ方・形・なめらかさ)を指す。
焦点距離
レンズの「写す範囲の広さ」を決める数字。小さいと広く、大きいと遠くを大きく写せる。
もう少し正確に言うと
ピントが合っているときの、レンズ(光学的な中心である主点)から撮像素子上の結像位置までの距離。mm(ミリ)で表す。数値が小さいほど広い範囲が写り(広角)、大きいほど遠くのものが大きく写る(望遠)。
画角
写真に写る範囲の広さを、角度で表したもの。
もう少し正確に言うと
カメラで実際に写る範囲を角度で表したもの。焦点距離が短いほど広く、長いほど狭くなる。同じ焦点距離でも、センサーが小さいほど狭くなる。レンズの仕様では水平・垂直・対角線の画角があり、1つだけ書かれている場合は一般に対角線の画角を指す。
35mm判換算
「フルサイズのカメラだったら何mmのレンズと同じ範囲が写るか」に言い直した数字。
もう少し正確に言うと
センサーサイズが違うカメラどうしで画角を比べるため、「35mmフルサイズ(約36×24mm)で同じ画角になる焦点距離はいくつか」に置き換えた値。APS-C機では多くのメーカーで焦点距離の約1.5倍(キヤノンは約1.6倍)、マイクロフォーサーズ機では約2倍になる(例: OM SYSTEMの12-40mmは35mm判換算24-80mm相当)。
撮像素子サイズ(フルサイズ・APS-C・マイクロフォーサーズ)
カメラの中で光を受け止める板の大きさ。大きい順にフルサイズ、APS-C、マイクロフォーサーズ。
もう少し正確に言うと
デジタルカメラに搭載される撮像素子(イメージセンサー)の大きさ。代表的なものは以下(寸法は目安で、機種により異なる)。
開放F値・明るいレンズ
「明るいレンズ」は、光の通り道をいちばん大きく開けられるレンズのこと。暗い場所でもシャッタースピードを速くしやすく、背景もぼかしやすい。
もう少し正確に言うと
開放F値(開放絞り値)は、そのレンズで設定できるいちばん小さいF値で、絞りがいちばん開いた状態。開放F値が小さいレンズを「明るいレンズ」と呼ぶ(例: F1.2、F1.4、F2、F2.8)。口径が大きくなるため「大口径レンズ」とも呼ぶ。単焦点レンズでは開放F値がレンズ名に書かれている。ズームレンズには、全域で開放F値が変わらないもの(例: 24-70mm F2.8)と、焦点距離によって変わるもの(例: 18-55mm F3.5-5.6は広角端F3.5、望遠端F5.6)がある。
単焦点レンズとズームレンズ
単焦点は写る範囲が決まっていて、撮る人が動いて構図を決めるレンズ。ズームは、レンズ側で写る範囲を広げたり狭めたりできるレンズ。
もう少し正確に言うと
単焦点レンズは焦点距離が変えられないレンズ。ズームレンズは焦点距離を変えられるレンズ。一般に単焦点は開放F値が小さい(明るい)ものが多く、ズームは開放F値が大きい(暗い)ものが多い傾向がある。
手ブレと被写体ブレ
手ブレは「撮る側が動いた」ブレ、被写体ブレは「撮られる側が動いた」ブレ。
もう少し正確に言うと
手ブレは、露光中にカメラ自体が動くことで画面全体がブレる現象。被写体ブレは、露光中に被写体が動くことで、動いた被写体がブレる現象。原因が違うので対策も違う。三脚や手ブレ補正は手ブレには効くが、被写体ブレは防げない。被写体ブレを防ぐには、シャッタースピードを速くする必要がある。
手ブレしにくいシャッタースピードの目安(「1/焦点距離」則とその限界)
「レンズのmm数分の1秒より速くすれば、だいたい手ブレしにくい」という昔からのおおまかな目安。
もう少し正確に言うと
手持ち撮影で手ブレしにくいシャッタースピードの目安として、「1/焦点距離(mm)秒より速くする」という経験則がある(例: 200mmなら1/200秒より速く)。Canonの用語集もこれを目安として紹介している。規格や物理法則ではない。
手ブレ補正(レンズ内・ボディ内)
カメラが揺れた分を、レンズの中かセンサーを動かして打ち消し、手ブレを減らす仕組み。
もう少し正確に言うと
手持ち撮影で起きるカメラの揺れを打ち消し、手ブレを軽減する機能。レンズ内の補正光学系を動かすレンズ内手ブレ補正と、撮像素子を動かすボディ内手ブレ補正がある。補正効果は「○段」で表し、CIPAの規格(CIPA DC-011)が測定方法と表記方法を定めている。一部のメーカーは、ボディとレンズの補正を連動させる協調補正(パナソニック「Dual I.S.」、OM SYSTEM「5軸シンクロ手ぶれ補正」等)を採用している。
ホワイトバランス
光の色のせいで写真が黄色っぽくなったり青っぽくなったりするのを直して、白を白く見せる機能。
もう少し正確に言うと
被写体を照らす光の種類(太陽光・電球・蛍光灯など)によって変わる色みを調整し、白いものを白に近い色で写す機能。オートのほか、晴天・曇天・日陰・電球・蛍光灯などのプリセットや、色温度(K)を数値で指定する設定がある。
色温度
光の色を温度の数字で表したもの。数字が低い光は赤っぽく、高い光は青っぽい。
もう少し正確に言うと
光の色みを数値で表したもの。単位はK(ケルビン)。光源の色温度は、低いほど赤み(オレンジ)が強く、高いほど青みが強い(例: 電球は約3000Kで赤っぽい光、晴天の日陰は約8000Kで青っぽい光)。
RAWとJPEG
RAWは「あとで自分で仕上げるための生のデータ」、JPEGは「カメラが仕上げてくれた完成品の写真」。
もう少し正確に言うと
RAWは、撮像素子から得たデータを、カメラ内の画像処理(現像)をせずに記録した形式。明るさ・ホワイトバランス・コントラストなどを撮影後に調整でき、調整による画質の劣化がほとんどない。そのまま見たり印刷したりするには、専用ソフトなどでの「現像」(一般的な画像形式への変換)が必要。JPEGは、カメラ内で処理した画像を圧縮して記録する汎用の形式。ファイルが小さく、そのまま見たり共有したりできる。ただし圧縮で情報が失われていて、撮影後に大きく調整すると画質が劣化しやすい。
撮影モード(P・A/Av・S/Tv・M)
Pは「おまかせ」、A/Avは「ボケ具合を自分で決める」、S/Tvは「動きの写り方を自分で決める」、Mは「全部自分で決める」。
もう少し正確に言うと
- P(プログラムオート): 絞りとシャッタースピードの両方をカメラが自動で決める。撮影者は、明るさを変えずに組み合わせだけを変えられる(プログラムシフト)。
オートフォーカス(AF-S/AF-C等の考え方)
AF-Sは「一度ピントを合わせたら止める」、AF-Cは「動く相手を追いかけてピントを合わせ続ける」。
もう少し正確に言うと
オートフォーカス(AF)は、カメラが自動でピントを合わせる機能。代表的な動作モードは2つ。
測光
カメラが「今どれくらい明るいか」を測ること。カメラは基本的に「ちょうど真ん中くらいの明るさ」に写そうとする。
もう少し正確に言うと
被写体の明るさを測り、露出(絞り・シャッタースピード等)を決める基準にすること。カメラの内蔵露出計は被写体からの反射光を測る方式。主な測光モードには、画面を分割して総合的に判断するもの(Nikon: マルチパターン測光/Canon: 評価測光)、中央を重視するもの(中央部重点測光)、ごく一部だけを測るもの(スポット測光)などがある。反射光で測る露出計は、測った範囲が「中間の明るさ(中間グレー)」になるように露出を決めるため、白っぽい被写体は暗めに、黒っぽい被写体は明るめに写りやすい。
ヒストグラム(白飛び・黒つぶれ)
写真の中に、暗いところと明るいところがそれぞれどのくらいあるかを山の形で見せるグラフ。右の壁にくっついていたら白く飛んだところ、左の壁なら黒くつぶれたところがある。
もう少し正確に言うと
画像の中の明るさの分布を表すグラフ。横軸が明るさ(左端が最も暗い黒、右端が最も明るい白)、縦軸がその明るさの画素の量。グラフが右端に張りついていると白飛び(明るすぎて白一色になり、細部が失われた部分)がある。左端に張りついていると黒つぶれ(暗すぎて黒一色になった部分)がある。RGBの色ごとのヒストグラムを表示できる機種もある。
一眼レフとミラーレスの違い
一眼レフは「鏡でのぞく」カメラ、ミラーレスは「センサーが見た映像を画面でのぞく」カメラ。
もう少し正確に言うと
一眼レフは、レンズから入った光をカメラ内部のミラーで上に反射させ、ペンタプリズム(またはペンタミラー)を通して光学ファインダーに導く構造のカメラ。撮影の瞬間にミラーが上がり、光が撮像素子に届く。ミラーレスは、このミラー(レフレックス)の機構を持たず、撮像素子が受けた像を電子ビューファインダー(EVF)や背面モニターに表示するカメラ。ミラー機構がないぶん、レンズマウントから撮像素子までの距離(フランジバック)を短くでき、小型化しやすい。
光学ファインダー(OVF)とEVF
OVFは「鏡とプリズムで本物の景色をのぞく窓」、EVFは「のぞき込むタイプの小さなモニター」。EVFは撮る前に仕上がりの明るさや色が分かる。
もう少し正確に言うと
光学ファインダー(OVF)は、レンズを通った光をミラーとプリズムでそのまま目に届ける方式で、被写体の像を電子的な処理なしで見る。EVF(電子ビューファインダー)は、撮像素子がとらえた像を画像処理して、ファインダー内の小さな表示パネルに映す方式。EVFでは露出補正やホワイトバランスの結果を撮影前に確認できる。
高感度ノイズ
暗い場所で感度を上げて撮ったときに出る、写真のザラザラ。
もう少し正確に言うと
ISO感度を上げたときに目立つ、ざらつきや色のまだらのような画像の乱れ。ISO感度を上げると、信号と一緒にノイズも増幅されるために起こる。一般に、センサーが大きいほど高感度でのノイズの点で有利とされる。
ISOオート(感度自動制御)と上限感度・低速限界
暗くなるとカメラが自動でISO感度を上げてくれる機能。ただし「ここまで」という上限があって、上限まで上げても暗いときは、シャッターを長く開けて明るさを補う。
もう少し正確に言うと
設定したISO感度では適正露出にならないときに、カメラが自動でISO感度を変える機能。ニコンは「感度自動制御」、ソニーは「ISO AUTO」、キヤノンは「ISOオート」と呼ぶ。オート撮影(全自動)ではISO感度がもともと自動で決まり、P・A/Av・S/Tv・MではISOオートを選んだときに働く。ISOオートには、高くなりすぎないようにする上限感度がある。PモードやA/Avモードでは、ISO感度が上がり始めるシャッタースピード(ニコン・キヤノンは低速限界、ソニーはISO AUTO低速限界)も決まっていて、初期設定ではレンズの焦点距離などに応じてカメラが決める。上限感度まで上げても暗いときは、低速限界より遅いシャッタースピードになる(ニコン・キヤノン・ソニーの取扱説明書)。